私には、今でも強烈にそして鮮明に残っている思い出があります。
1993年(平成5年)9月11日(土)
場所は山形県県民会館。
私達はそのステージに立っていました。
吹奏楽コンクール高校Aクラス。
上位3校が全国大会に出場できる大一番です。
その日出場した12校のうち、金賞を受賞したのは、私達を含めて4校。
全国大会進出を逃したのは、私達1校。
ダメ金ってやつでした。
その日の風、におい、音楽は今でも頭から離れません。
旧山形県庁をバックに撮った全体写真には、まだ結果を知らず夢に向かっている顔が並んでいます。
あの日、仲間達と泣いて笑ったことは、今の生きる原動力です。
今日の天気と気温が、あまりにもその日とそっくりだったので、
センチメンタルジャーニーな気分になりながら、前に進もうと改めて誓うのでした。
あの頃を思い出させてくれるのは、音楽とにおいですね。
こんな時に思い出す詩があります。
「雲の向こうまで」
厳しい練習を繰り返して、仲間と演奏した音楽の響きは、
どこか遠くの空へ消えていきました。
でも間もなく高校を出て、ひとりで見知らぬ街を歩く時、
傍らにもし街路樹があれば、あの懐かしい吹奏楽の響きを、その葉のそよぎの中に聴くでしょう。
もしそれが雨の日なら、栄光に打ち破れて泣いた日のあの涙を敷石に見るでしょう。
若い日の情熱は生きる勇気、だから今日最後の公演に、精一杯の音楽を高らかに雲の向こうまで響かせなさい。
高校時代を生きた証に。